第5章 懐古と芽生と安らぎと
ケーキを食べ終わり一息ついた頃。
携帯の着信音が鳴った。
「あ、わりぃ。俺だ」
と言って、そのまま出る明光。
はこの幼馴染たちとのまったりとした時間を、何処か懐かしく感じていた。
みんな大きく成長しているし、月島兄弟の…主に月島のツンが増した気がするけれど、本質は変わってないなぁと思いながらお茶をすする。
「あ、ちゃんもう少し飲む?」
と言ってすかさず、世話を焼いてくれる山口も相変わらずだ。
「ん、ありがとうたっくん」
「え!?」
ちょっと大きい声をあげる明光。
自然と三人の視線が集まる。
「二人来れなくなった??いや、どーすんの??」
明らかに焦り出した兄を見ても、どーでも良さそうな視線を投げる月島。
それを見た明光は、ニヤァと笑った。
それはそれは、何かとても悪いことを思いついた少年のように。
「あ、島さん!大丈夫です。欠員分プラスアルファ、心当たりがあるので!!」
はい、じゃあ後ほど!
と電話を切るとパンと手を叩いて「さ!行くぞ!準備してくれ!」
と言い放った明光。
「はぁ?これから課題やるんですケド」
ジト目の月島。
「あきくん、あの一体何処へ?」
キョトンとしている。
「…僕らの母校さ!」
三人とも動きやすい服装に着替えて、15分後に山口家前に集合な!
あ、二人はスパイクも持ってこいよー!
言うことだけ言うと、明光はパタパタと玄関の方に行ってしまった。
「明光くんって、こんなに強引だったっけ?ツッキー?」
「…僕に聞かないでくれる?」
「で?どうするの?行くの?」
「行くわけ「行くよね?ね?」」
「「…」」
身長差から自然と上目遣いになる。
見つめられた二人には、その背後にぶんぶんと揺れる尻尾が見えた気がした。
…犬かな?