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烏たちの帰る場所。【ハイキュー!!】

第5章 懐古と芽生と安らぎと


「ちょいちょい、二人ともそんな警戒しなくても」

もう降参だ、というように明光は両手を挙げた。
取って食いはしないんだからさ!と続ける。

「ぜんっぜん、信用ならないね!バカ兄貴!」

ガルルルルと呻き声が聞こえるような目で兄を睨む月島。
を背に匿っている山口も、およそ穏やかな雰囲気ではない。

「ね?私は大丈夫だからね?二人とも落ち着いて…」

「そーだぞー!二人ともー!俺はただに会い来がてら、こ、こいつを差し入れに来たんだよ!!」

ほれ!と明光が掲げるのは、ケーキボックス。
そこには月島家御用達の駅前パティスリーのロゴが記されている。

疲れた脳には、甘いもんだろ?
ほーれ、どれにするよ?
忠ぃ!皿とフォーク貸してくれー!

ゴクリと、生唾を飲み込む音が室内に響く。
山口の後ろからがふらりふらりと明光に近づく。

「け…けけけけけ、けーーーーーーえええーきぃーーーーー!」

きゃーーーーー!と口を押さえてながら、キラキラとした目でボックスの中を覗く。

なんだか、明光のマイペースぶりとのハイテンションにすっかり月島と山口は毒気を抜かれてしまった。

「「はぁ…」」

二人して思わずため息をついて脱力する。

「プリンアラモード、チョコケーキ、アップルパイ、モンブラン、ショートケーキは2個?なんで?」

は明光を振り返る。

「あー、それ蛍用!」

トントンとボックスの縁を叩く明光。

ここの店、季節のショートケーキが売りでその時期に1番美味しいいちごの銘柄を使っている。

「あ、今日の銘柄は“あまおう”だってさ!」

そう言って、グッと親指を立てる明光。

ピクリ、と月島の肩が反応した。

「…たべる」

ボソリとつぶやいた月島は明後日の方を向いた。

そんな弟をつっついて、
兄さんの弟好みのチョイスは完璧だべー??
と明光はニヤニヤする。

「うるさい、バカ兄貴」

「素直に嬉しいって、いいなさいな」

そんな、二人のやりとりを見て爆笑する彼女をどこか遠いものを見る目で眺める山口。

(ちょっとー!!!月島兄弟のキャラ立ちが良すぎて僕の存在感皆無なんですけどー!!)
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