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烏たちの帰る場所。【ハイキュー!!】

第4章 再び出会った僕たちは


成田空港から上野を経由して、仙台へと向かう。

新幹線の車窓は都心のビル群から夕暮れの田畑に変わっていた。

ぼーっと、眺めていると段々と帰ってきたのだという実感が湧いてきた。

車内アナウンスが福島に到着したことを伝える。後20分強で、目的地だ。

上の荷物棚から荷物を下ろしたり、上着を着たり身支度をする。

念のために、ミラーで前髪の具合も確認した。
大丈夫だ!

仙台に着くと、キャリーケースを引きながらコンコースを歩いていく。

来た。帰ってきたんだ、故郷に。

流行る気持ちを抑えられず、早足に集合場所へと向かっていった。

改札を出て、券売機付近の人並みを見回す。

…おばさんは何処だろう?

この辺って言ってたのになぁ。

キョロキョロしながら歩いていると、ドンと人にぶつかってしまった。顔の目の前にはその人のTシャツのロゴが見える。

慌てて見上げると、ちょっとクセのある明るい髪色が目に入ってきた。

「ちょっと、ちゃんと前見て歩けないわけ?… 」

「へ?…どちら様?なんで、名前…」

「ツッキー!!どうした…の!?あ!!」

傍からにゅっと出てきたそばかす顔の少年に詰め寄られる。

「!??」

「おかえり!」

突然両手で手を握られて、ブンブンと振るそばかす君。その隣で眼鏡の彼がやれやれと言った様子で見下ろしてくる。

「もしかして…たっくん?けーくん?」

「そうだよ… 。やっと分かったの?」

「やった!!ドッキリ大成功だね、ツッキー!!」

「うるさい、山口」

背が伸び成長した彼らは、記憶の中の姿と似ても似つかないけど、この二人の空気感、会話のテンポ…。紛れもなく、私の幼馴染たち。

再会の喜びと驚きに、何かが耐えられなくなって目尻から溢れてくる涙。

そんな顔を見られたくなくて、二人にぎゅっと抱きついた。

二人が一瞬ギョッとして身を固くした気配がしたけど、知るもんか!

「…タダイマ。」

消え入りそうな声に応えるように、二人は優しく肩を叩いてくれた。
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