• テキストサイズ

烏たちの帰る場所。【ハイキュー!!】

第4章 再び出会った僕たちは


少し離れた所から様子を見ていた唯香さんは、私の顔をみてギョッとした。

再会早々泣き腫らした目をしていたものだから、あらぬ疑いの目を二人に向ける。

…何泣かせているんだと、その目は物語っていた。

違うんだと言わんばかりに、たっくんが全力で頭を左右に振った。首がもげないか心配になる。

しょうがないと言った風に短く息を吐いた唯香さんは、改めて私に近づいてくる。

「よく来たわね、ちゃん」

そう言うと、ふわりと私の頭を撫でてくれた。

「泣いてたら、可愛いお顔が台無しよ!」

「ふぁい。」

ふわりと笑った唯香さんは、とても素敵だった。優しくて、あたたかくて、記憶の中の姿と変わらない笑顔にほっとする。

思わず気の抜けた返事をしてしまった。

気づくと、感じていた荷物の重みが突然無くなった。

「長旅で疲れてんでしょ」

「ここは僕らに任せて!ね?」

サッと私の手から荷物を奪い取った二人に、また驚いてしまう。

「あら、やるじゃない」

唯香さんはふふふと、口元を抑えて笑っている。

こんなに私に甘い人たちだったろうか?再会早々面食らってしまう。

パン!と唯香さんは手を叩くと、早速ご飯いきましょ!と指を指す。

その先を辿っていくと、懐かしいのぼりが見えた。

…仙台牛

「さ、今日は私の奢りよ!みんな好きなの頼んでちょうだい!」

「いや、そんなご馳走になんて!!」

ぐぅううううう
言葉とは裏腹に、腹の虫が悲しく鳴いた。

「お腹は正直みたいだね?」

「遠慮なんてしないで!母さんが好きでやってることだから」

ププッと笑いを堪えるけーくん

慌ててフォローするたっくん

どっちの反応も、居た堪れなくなってくるからやめて欲しい。

結局たっくんに肩を押されるまま、牛タンの専門店街に連れられて行った私。

唯香さんのご厚意に甘えさせてもらった。

そして、山口家に着くや否や疲れのピークを越してベッドにダイブしたまま意識を手放してしまった。


/ 37ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp