第4章 再び出会った僕たちは
少し離れた所から様子を見ていた唯香さんは、私の顔をみてギョッとした。
再会早々泣き腫らした目をしていたものだから、あらぬ疑いの目を二人に向ける。
…何泣かせているんだと、その目は物語っていた。
違うんだと言わんばかりに、たっくんが全力で頭を左右に振った。首がもげないか心配になる。
しょうがないと言った風に短く息を吐いた唯香さんは、改めて私に近づいてくる。
「よく来たわね、ちゃん」
そう言うと、ふわりと私の頭を撫でてくれた。
「泣いてたら、可愛いお顔が台無しよ!」
「ふぁい。」
ふわりと笑った唯香さんは、とても素敵だった。優しくて、あたたかくて、記憶の中の姿と変わらない笑顔にほっとする。
思わず気の抜けた返事をしてしまった。
気づくと、感じていた荷物の重みが突然無くなった。
「長旅で疲れてんでしょ」
「ここは僕らに任せて!ね?」
サッと私の手から荷物を奪い取った二人に、また驚いてしまう。
「あら、やるじゃない」
唯香さんはふふふと、口元を抑えて笑っている。
こんなに私に甘い人たちだったろうか?再会早々面食らってしまう。
パン!と唯香さんは手を叩くと、早速ご飯いきましょ!と指を指す。
その先を辿っていくと、懐かしいのぼりが見えた。
…仙台牛
「さ、今日は私の奢りよ!みんな好きなの頼んでちょうだい!」
「いや、そんなご馳走になんて!!」
ぐぅううううう
言葉とは裏腹に、腹の虫が悲しく鳴いた。
「お腹は正直みたいだね?」
「遠慮なんてしないで!母さんが好きでやってることだから」
ププッと笑いを堪えるけーくん
慌ててフォローするたっくん
どっちの反応も、居た堪れなくなってくるからやめて欲しい。
結局たっくんに肩を押されるまま、牛タンの専門店街に連れられて行った私。
唯香さんのご厚意に甘えさせてもらった。
そして、山口家に着くや否や疲れのピークを越してベッドにダイブしたまま意識を手放してしまった。