第2章 ~天下人とて人なれば~
夜長が泣き崩れるように「愛してる」と、途切れ途切れに言う。
蕩けて啼き疲れて掠れた声だ。
呼吸もままならない悦楽に信長は「最初からそう言え」と甘やかす目で言い、花芯をやんわりと撫でて遣る。
もう体中が汗にまみれ、繋がった場所も繋がっている内側もドロドロになっている。
「貴様は分かっているか?」
「……?」
休みなく与えられる指先の刺激に身体を跳ねさせながら、目で問う。
「貴様は俺の物だ。俺は、俺の物を誰にもくれて遣る気は無い。触れさせる気も無い」
繋ぎ目を愛でていた指をどけ、その指を見せつけるように舐める。
その仕草はむせ返るような色香に満ち、同時に信長の赤い舌が猟奇的にも見える。
獣に食べられているみたいだ、とぼんやりと思う。
「貴様のせいで生じた煩悩だ。責任を取れ」
そっと頬を撫でる。
「……信長様が、煩悩……ですか……?」
優しい仕草で撫でる手に自分も頬を擦り付ける。
「そうだ。煩わしい程に悩ましい。これ程に愛おしく思える存在を持つ事がどれだけ乱されるものか。夜長、教えた貴様自身がこの煩悩を受け止め、全てを寄越せ」
頬を撫でたまま唇を重ねる。
収まらない熱を解放する為、信長は何度も夜長を啼かせ、慄かせ、蜜口から溢れる精にも構わず熱い精を中にそそぎ続けた。