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僕と彼女の声帯心理戦争

第6章 【第1章】嵐の前の静けさ Day6


数少ない、彼女について分かった事。回りくどい言葉遣いをせず、少し荒っぽいぐらいがいいのだ。

あはは、私も本当はそうしたいんですけどね~、とポリポリ頬をかくと、スッと真顔になった。

「……そういう訳には行かないので」
ワントーン低い声。
「具体的な内容は、教えて貰えないんだよね?」
「もちろん!!」にぱっ。いつもの表情に戻る。
「あはは、まあそんな気がしてたよ」

……まあ心構えが少しは出来るだけいいか、と前向きに捉えて、朝食作りに向かう彼女の背中を追った。

******
「ウェエエエエエェイ!?!?アオさんじゃないですかぁあああ!!」

そうテンションMAXで葵に話しかけて来たのは、上井陽。元警察官だがどうも不良警官だったらしく、現代で後がなかった所運良く(?)石化。
その武術の才を司に買われていた。

彼女が探し始めるどころか、寧ろ向こうの方が探していると聞きつけてやってきた。……完全に彼女のファン、といった所か。

「俺になんか用ですかね!?このヨー君に!?」
「いえ~。まだ私、ちゃんとご挨拶してなかったので~。陽君は、確か警察官さんの武術大会で1位を取られたんですよね~?」

すごいですな~と言いつつほわりと笑う葵に、陽はというと、そーなんですよー!!俺っては凄いんですよ~!!さっすが分かってんなーエラい人は!!アオさん自ら会いに来てくれるなんてー!!と完全に舞い上がっている。

ああ、なるほどと羽京は合点がいった。
陽は警察官として、ある程度司帝国の治安を纏める為の人員だ。そこを『抑える』つもりなのだろう。

……国家転覆。その四文字が脳裏に浮かぶ。

目の前では私は非力なので助かります~、大丈夫です!俺が守ります!!助かります~という会話。
言い方は悪いが、完全に『籠絡』する類いだろう。

だが、ここで問題が一つ発生する。トップ3と言われる自分含む3人に次ぐ陽を抑えたとして、氷月に接近する理由が無い。ましてや、あの氷月が籠絡されるとも思えない。不可能だろう。

どうするつもりだーー?

羽京が見守る中、陽と会話をある程度弾ませた葵が、ではまた~お仕事頑張って下さいね~
と笑顔で陽を見送っていた。
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