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僕と彼女の声帯心理戦争

第6章 【第1章】嵐の前の静けさ Day6


彼女ーー葵が『明日から動きます』と謎の発言をしてから、今日で六日目になった。

羽京は最近出来たばかりの自分専用の寝室でぱち、と目を覚ました。ぼうっと天井を眺める。

三日目に石像パズルを手伝ってからというものの、また何かあるのかと構えていたが、特に無く。

これまでのライブも女子会という名のグッズ製作も無事に行っている。
昨日は単に司帝国をぐるぐるまわっては、帝国人に労いの声をかけたり、料理長としての地位も確率して調理をメインでしたり。
石片を集めては杠の洞窟へ持って行き、また一緒に作業。

「しばらくは何もしませんよ~」三日目の夜。
彼女が自分に言った通り、ありとあらゆることを難なくこなしていた。

……そろそろ気を抜いてもいいのか。いや、寧ろ気を抜いた時を狙って来るかもしれないーー

そう思いつつ、むくりと起き上がり、身支度を始めた。
終わり次第、彼女の家の真ん前にある森林のいちばん近い木の下で座り込む。

「んん~……」もそり、と起き上がる音を探知する。彼女はどうやら起き上がりはぼうっとする時間がある。10分程度はそうしたかと思うと、着替えて出てくる。

「あ、羽京君。おはようですよ~」彼女がひょっこりと小動物の様に顔を出した。

「プロデューサーさんには予定を伝えとかないとですね~」「……え?」

予定を伝える。今まで散々傍若無人で規格外の振る舞いをしてきた彼女からは、想像もつかない言葉だった。

「??なんか困るです?」出た、首クイ。
「いや……そうして貰った方がまだ有難いかな。でもいちばんは何もやらかさない事だけど」
「あはは、羽京君。私がやらかしてないの想像出来ます~??」
「想像出来ないけど。本人が言うんだね……?」

はあ、とため息をついている間も、当人はルンルンと楽しそうにしている。……彼女には僕をからかう趣味でもあるのだろうか。

「それで?今日は何するの」
「今日はいつものルーティン以外に2件用事がありまーーす!!」
ビシイッと右手をチョキの形にする葵。

「具体的には?」駄目元で聞く。
「どっちも面会案件ですな~。上井陽君と、……氷月」
ピクリ、と最後の名前に肩が動く。

「君は、てっきり氷月の事を避けて通りたいものだと思ってたけど?」これまた、直球で投げる。
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