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僕と彼女の声帯心理戦争

第15章 【第3章】サヨナラの可能性


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「すぴぃ…すぴー…」流石に睡魔には耐えられ無かったのか、最初こそ身を固くしていた彼女がそれだと背負うの大変だし寝てて?と言うと大人しく眠っている。

自分はこれでも元自衛官だから、体力ぐらいはある。半日、と大袈裟には言ったが、多分もう少し早くーーーー

「この辺りかな」
呟いた。背中で眠る葵に声をかけるがーー
起きない。人を困らせる所は相変わらずの様だ。仕方なく近場の岩にもたれる様に彼女を降ろす。

暫く待っていると、んん……と彼女が瞼を開ける。

「わ………!!」




ーーそこは、丁度朝日の光が差し込みかけた、海辺だった。波が寄せては、返す。光が当たり、キラキラと反射する海。

「綺麗…………!」嬉しそうに言うと、あっちょっと、と止める間もなくポンチョを脱ぐと浅瀬でパシャパシャ、と水遊びをする。

「ふふ……」



ーー真っ白いウェディングドレスが、蒼い海を背景にくっきり浮かび上がる。
仕方ない、とため息をついて、自身も靴を脱いでバシャバシャ、と彼女の元に行く。

「??羽京君?」
「ーー葵、おいで」
そう言うと、素直にトコトコ…ではなく、今だけはぱしゃぱしゃ、と音を立てて彼女が寄ってくる。

「……どうしました?」そう首を傾げる彼女にふ…と笑いかける。
片膝を下ろして、膝立ちになる。
「あの、それだと服が……!」濡れちゃいます、と言う彼女を無視して言った。




「……葵。僕の、お嫁さんになって」
「…………え」
「……君は、こういう綺麗な景色とかが好きなんでしょ?ーー沢山、こんな景色も見せるし、何よりーー綺麗な思い出をあげるよ。指輪は無いけど、ーーその代わり、綺麗な物をずっとあげる」
ね?と微笑んだ。
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