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僕と彼女の声帯心理戦争

第15章 【第3章】サヨナラの可能性


「……正確には、君の嘘を見破ったのは僕の耳では無いかな」「……え」

「少なくとも、君はプロの嘘吐きだったよ」そう耳元で囁く。そして耳たぶを甘噛みする。

「……ひゃ…!?な、何を…!?」シャーっと相変わらず猫の様に臨戦態勢に入る彼女。
「あはは。……僕の耳では心の声までは聴けなかったんだ。……答えに辿り着けたのは、他でもない僕の感情だよ。…感情があったから、『答え』に辿り着けたんだ」

そう言って、抱き締めていた手を離す。
急に温もりが無くなったのと、今後どうなるのか不安げにしている彼女に笑いかける。

「ーーでも、僕は君との戦争に勝った。君には罰を与えなきゃね」
「……やっぱりそうなのですね…」しゅん。猫耳が垂れるのが見える。

「取り敢えず、ここから上がろうか?」
「はい~……」

落ち込む彼女を上がらせて、手元の布で軽く足を拭く。ーーキメの細かい、白い肌。ヒラヒラ揺れる、ウェディングドレスの裾。

「…………」じーっと足を見詰めていると、ビクリと葵が身動ぎする。
「あの…もう拭えましたし…」
海の瞳が、こちらを見据える。

「…………決めた」「…え?なにを」
呆然とする彼女にニッコリ笑いかける。

「罰ゲームだよ。とっておきのをね。それが終わったら、いつも通り一緒に居るよ」
その言葉に、葵がぱあっと顔を明るくする。
「ほ、本当なのです…!?」

ああ、やっぱりこの子、僕の事好きなんだなあ。そう思いつつ、そうだよ、と笑う。

「でも……罰ゲームの場所まで凄く時間がかかるんだよね」そう顔を曇らせる。
「ど、どのくらい…?」

「さあ……今じゃ地理も変わってるし、下手したら半日とか」
「は ん に ち……」ひいっ、、と葵が青ざめる。

「……でも、安心して。」そう言って目の前で屈む。
「…え、あのこれ…」「僕がおぶって行くから」振り向いて笑うと、それはそれでムリです~~と顔を赤らめて言う彼女。

「あはは、じゃあ罰ゲーム無しで僕が監視役から「やりまず!!」食い気味に言う彼女。

……恐る恐る背中に身を預ける彼女。早鐘の様に鳴る心臓の音が聞こえる。
くすり、と笑いながらじゃあ行こうか、と彼女を連れて行った。
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