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僕と彼女の声帯心理戦争

第13章 【第3章】死神衣装


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「おはよ~ござまーーす…」
目元に酷いクマのある状態で寝床から出てきたのは葵だ。

昨晩何やらゴロゴロしてたのは音で知ってたが…
羽京はどうしたの?眠れなかった?と聞く。
「まあそんなところです~…」目を擦ってる姿に、あんまり擦ると目に良くないよ、と止める。

「もう一度横になったら?朝食作りの方は僕の方でフォローするから」
「うぅ~~お言葉に甘えて……」
そこでふと、手に持っている布……正確には手が震えてるのでブルブル上下にブレてる布達が目に入った。

「……それは?」指さして聞くと、あ゙あ゙これですな…と葵がピラリと布を開いた。

覗き込むと、どうやら衣装デザインのようだった。
まさかとは思うが、夜通し月明かりのみでこれを書いたのか…それは寝れる訳が無い。

「…ライブで使う衣装かな?」
「正解です~。ファム・ファタールシリーズの服ですね~。今回のは杠ちゃんに特注するのです~」
「それ、杠に言えば彼女なら再現出来るんじゃ…」
「まあそうかもですが、参考程度にあった方がいいかと~」

…本当に、歌や人を楽しませる事には抜かりが無い。反面、自分の事をいつも疎かにしがちだが。
仕方がない。寝かしつけるか……

首根っこをくい、と摘んだ。
「ふぇっ」「寝室に行こうね?」そう圧を込めて言うと、ふぁい…ととぼとぼ着いて来た。

「ううううう…」
そう言いつつ彼女が布団に身を包んだ。

ジーッとその姿を見ていたが、ふとある事を思いついた。
……いつも本人曰く『ちょっかい』を『何となく』でかけられてるし、オマケに恋仲だとニッキー達に誤解されてるのだ。これくらいの反撃はいいだろう。

「…葵、よく眠れるおまじないをかけようか?」
「…??何それ??」
徹夜明けだからか、いつものふんわり口調も抜けている。おまけに判断力も鈍いからか、スグ引っかかった。

布団で簀巻き状態の彼女に、向こうを向いて、と壁を指さす。はーい、と素直に向く。帽子をベッド脇に置くと、そのままベッドに上がり込む。
ギィ、と軋む音がした。

「……?うきょーく…ひにゃっ」
簀巻き状態の彼女の後ろにピッタリくっつく様に、横になる。右腕を腰辺りにまわし、ちゃっかりホールドしている。
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