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僕と彼女の声帯心理戦争

第13章 【第3章】死神衣装


『聖人』。人間界では善き人の事を言うだろうが、私たちにとっては善き人イコール、それほど「魂の輝き」が強い事を意味する。
輝きが強く、穢れてなき魂は、それ1つを死神が採取するだけで万や億単位の力になるのだ。

だからこそーー私達死神は、彼らの魂を摂る事に心血を注ぐのである。

もちろん、『聖人』達はその名を付けられるだけあり、攻略難易度は高い。だが、高くて清らかな場所から堕とせば堕とす程、その価値は高いのである。
ましてや大死神様直々の依頼とも来れば、さぞかし善き『魂』なのだろう。

「その依頼、お受けしますわ」ニッコリと微笑んで答える。
「うむ。お前に、近いうちに引き合せる」

それだけ告げて、大死神様が退場し冬季魂会議は幕を閉じた。
******

咲夜の髪は、漆黒の闇の様な黒く艶のあるロングヘアで、クセが無い。対して私は白銀で、ロングではあるものの、緩くウェーブしている。

咲夜は真っ黒い瞳に対して、私は海のようだと形容される蒼い瞳。
……外見だけならせめて胸が大きめ位しか共通点にあげられそうなのが無いが……

咲夜に似てる、か。

世界で唯一、愛してはならない人を愛した咲夜。
盲目で献身的で、最期には自らヒーローの持つ聖剣により、死神達の望む世界への道を壊した咲夜。

……悪女、という点では同意するが、他はさっぱりだ。何処が似てるんだろ……
他に私が似てるとすれば……

ふと、脳裏に羽京君の顔が浮かんだ。

穢れのない、清らかな魂に寄り付く悪い死神達。

ぼっ、と赤くなった顔を隠すように布団に顔を埋めて、そのままゴロゴロ左右に転がる。……消火活動が終了。ふー、と私は白い息を空に吐いた。

まさか。羽京君は綺麗だけどーーそもそも私なんかに惚れない。

……出来れば今のまま、私と深い関係にならずに傍に居て欲しい。

瞼を閉じて、過去に大事に想ってきた二人をそこに浮かべる。
リリちゃんは、宇宙に居た。石化してるしてないに限らず、操作する地球側の人も石化してるのでまず帰還は難しい。
仮に上手く行っていても、3700年経った今となってはーー

きっと二人はもう居ない。
嗚呼なるほど、破滅させる運命の女という意味で、私は咲夜と一緒なんだ。
あはは、声にならない笑い声が出た。

……ファンの人の方が、ずっと私より私を解ってる。
そう思いつつ、私は一夜を過ごした。
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