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僕と彼女の声帯心理戦争

第13章 【第3章】死神衣装


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死神のファム・ファタールの主人公は、冷酷無比で他人に何かを期待しない、人間を魂を狩るための獲物としか見ていない優れた死神だ。
元はライトノベルで、それがアニメ化。三部作として発表された。

ーー私が楽曲の歌唱担当であり……
主人公の咲夜の声は、私が担当している。勿論偽名だ。

一般人公募の形だったが、プロデューサーが駄目元で私に勧めたのだ。良い勉強になる、と。確かに演技を磨く勉強になったが…

ーー似てる?私が、あの咲夜に?


ドサッ、と今日の分の仕事を終えた私はベットの上に寝転がる。ファムファタのリクエストはもう少し後だ。だが…この作品に関しては、3曲連続で歌いたいのと、杠ちゃんに特注で舞台衣装の作成を打診していた。

勿論タダで作業させる訳には行かないので杠ちゃんの要望通り少し難しい細工の手芸の手伝いとかはするつもりだ。

私は、小説の冒頭部分を思い浮かべたーー


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「冬季魂収集ランキングを発表する」

長老たる大死神様がそう仰ると、私たちーー死神はザッ、と頭を垂れた。
順位が発表され、名を呼ばれた者が立ち上がる。立ち上がっては褒美を貰い、今度はその肉体をカラスの身に変化する。

そうして上空からランキングを見守るのだ。ちなみに変化はそれなりに力を消費するので、ランキングが高い方がラクだし、高位の死神と言うことになる。

「ーー1位は、咲夜」「はい、大死神様」

またアイツか、よくやるよ、今回は何体取ったんだ?うわー3桁かあ、えっぐー。いつも1位でいいよなーこれだから女の死神は…

上のカラスが煩い。

「よくやった。今期で3桁を記録したのは君くらいだ。
…まあ尤も、他に四半期で3桁を超えるような者がおらんだけだがね」じろり、と大死神様が睨むと、上空が静まり返った。

「お主には、特別綺麗な褒美をやろう」
「まあ、何でしょう」表向き喜んでみせたものの、正直どうでもいい。
私からすればこれまで貰った褒美で変化も変声も魅了も、魂を採取する為にどんな術も取得している。ので、あまり期待はしていない。

「お前には『任務』を与える」
「…任務、ですか」
褒美とは言い難いワードに、さすがに少し驚く。

「うむ。これまでどんな死神を送っても魂を取れなかった……所謂『聖人』の魂採取じゃ」
「まあ…!!」私は歓喜した。
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