第15章 回転不変:無題のノート
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本来業務のかたわらにだが、新たに設備の開発を始めたらしい。
「キミの言葉を聞いて思いついたんだ。そもそも敵襲を予測できないかってね」
主はより研究に没頭するようになった。特にここ最近は、寝食の忘れ具合が尋常じゃなかった。
平気で二徹、三徹するわ、ゼリー飲料で1日1食を済ませるわで、ふらふらな主に気が気じゃなかった。
というわけで、
「主、もう昼だ。あぁ、その計算はあとにして、こっちで一緒に食べよう」
「そろそろお茶休憩をとろう。主のためにうまい茶を淹れた」
「夕食をとりにいこう、主。今日は主の好きな異国料理らしい。だめだ、そのレポートは置いていくんだ。あとで読もう」
「主、日付が変わってしまう。用意しておいたから風呂に行ってくるんだ。……なぜ防水の端末を持っている? 風呂くらいゆっくりつかっておけ」
「主、眠れないなら添い寝でもするか? そうかそうか、じゃあ寝るということだな。おやすみ、主」
四六時中研究していたい主VS主に規則正しい生活を送ってほしい鶯丸、というバトルが勃発した。
激しい攻防のさなか、おかけで鶯丸は家事スキルを得てしまった。
「ボクは子どもじゃないんだよ!? 立派な成人なんだよ!?!」
「立派な成人なら二徹した朝に廊下で寝落ちて俺に踏まれそうにはならない」
「ぐぬぬ……」
なんだその鳴き声は。
そんな尽力もあり、生活習慣が少しは改善された。