第11章 決戦前夜
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時刻は夕方に差しかかる頃。
鶯丸は部屋で一人、スマホの画面を点灯させる。
部屋の外では、短刀たちがきゃっきゃと洗濯物をとりこむ声がしていた。穏やかな喧騒があたりを包む中、くだんのアプリを起動すると、新着メッセージが1件通知されていた。メッセージが到着したのは30分前のようだ。
ようやく頭痛が収まり、ディスプレイを苦しむことなく見られるようになった鶯丸は、迷わずメッセージをクリックした。
教えられたとおりにクリックしていくと、テキストメッセージが表示される。
>>前田:こんにちは。見えますか?
それは紛れもなく、前田からのメッセージだった。はやる気持ちをおさえ、慣れない手つきで文章を打ち込んでいく。
>問題なく見える。
しばしして、すぐに返信がついた。
>>前田:良かったです。今、少し話せますか?
了承の返信を即座に送る。
直接会っているわけでもないのに、こんなふうにやりとりできることが不思議だった。
>>前田:山姥切さんの話を覚えていますか?