第11章 決戦前夜
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宴会の席も少し落ち着いてくる。
鶯丸の膝では、小夜と五虎退がくうくうと眠りこけていた。二人揃って「鶯丸さんが寂しそうだったから」とやたら世話を焼いてくれた。
この二人が特にだったが、他の刀剣も例にもれずだ。みんなやたらと「これ食べなよ」「これ美味しいから飲みなよ」と鶯丸のもとに足しげく通ってきた。なんだか恥ずかしい。
そうしている内にいつの間にか、二人ともがこんなふうに眠っていた。ちなみに離れたところから宗三に睨まれている気がするが、気づいていないフリ一択である。
なでろとばかりに甘えてくる五虎退の虎をなでながら、審神者が人払いをして、鶯丸だけに話したことを思い出す。
審神者から聞いた話はこうだ。
彼は孤児院出身だった。その孤児院では、定期的に孤児の誰かがどこかへ連れていかれ、二度と帰ってこなかった。里親に引き取られたとか、違う孤児院に移ったとか。大人たちはそんな説明をしていた。
そして十年前のある日、彼が同じ部屋で暮らし、兄のように慕っていた“お兄ちゃん”が連れていかれた。里親が見つかったらしかった。彼は涙ながらに見送ったが、その後、思いもよらない再会を果たしてしまう。
その再会は、とある事件を報道する記事の中でだった。
歴史修正主義者に寝返った審神者が、同胞を殺戮した事件だ。