第7章 君が私の煇。Ⅱ
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"呪術師は非術師の為に"
常々そう言っていた傑がそう言うのだ。
よほどそう見えてしまったのだろう。
「それでね、九十九さんが言ったよ。
呪術師から呪いは生まれないんだそうだ」
「………は?」
「だからね、私は「ちょっと待って」」
思わず傑の言葉を止めてしまった。
こんなにも辛い思いをして任務を遂行して
それでも非術師から見返りもないのに
呪いを生み出しているのは、
「非術師、の、"せい"なの?」
「……雪奈?」
「私のお父さんが呪いに惨殺されたのは
非術師が蒔いた呪いの"せい"なの?」
「…………雪奈、ごめん。
その続きは私が喋るよ。
だから九十九さんに言ったんだ。
非術師を皆殺しにすればいいって」
気がついたら涙が出ていて、それに
気づいた傑の手招きもあって傑の隣に座る。
「でもね、呪術師は非術師の為にあると
思っている私はその考えで悩んでいるんだ。
九十九さんは、呪いを生まない為の研究も
しているみたいだからね」
優しく私の頭を撫でる。
それと同時に、悔しさが込み上げてくる。
「……なんで、言ってくれなかったの?」
「これを話せば、君は苦しむだろう?
だから私の中にとどめておこうと思った」
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