第5章 犬、時々虎。Ⅱ
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私の携帯を覗き込み、野薔薇が
あからさまに嫌な顔をした。
「え〜、彼氏様から呼び出し?
まだ少し雪奈といたいのにー!」
「まだ分からないからとりあえず
見るだけ見るし、お呼ばれなら遅くなるって
ちゃんと連絡するよ、安心して!」
「………雪奈〜!
ごめん虎杖に嫉妬した!行っておいで!
というか一緒に帰ろう!そうしよう!」
野薔薇が少し涙目になってる。
本当に申し訳無さすぎるけど、その優しさも
野薔薇の素敵なところだと思う。
まず、宛先人からのメッセージを
見ないといけないと思い、開く。
『今日もお疲れ!
禪院先輩から釘崎と一緒にいるって聞いた!
楽しんで来てね!』
見た瞬間、凄く心がほっこりしちゃったよ。
私の彼氏可愛すぎでは…?
画面を見たままフリーズしてた私が
余程危なく見えたのだろう。
野薔薇が必死に揺らしてきた。
「雪奈!雪奈!?
ちょっと!虎杖なんだって?」
これなら大丈夫だろう、と
野薔薇に送られてきたメッセージを見せた。
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