第4章 私がいるでしょう。
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「お互い好きなんだから付き合えば?」
灰原がとんでもない事を軽く言ってきた。
七海は頭を抱えている。
良く見ると、照れている様で真っ赤だ。
「安比は七海が好きだし、
七海だって安比の事好きだろ?
付き合っちゃえば五条さんの事も
断りやすいんじゃない?」
「………そうですね、そうしましょう」
「七海は…いいの?」
「いいも何も、灰原が言いました。
私は貴女が好きです。何か問題でも?」
真っ直ぐな瞳でそんな事を言われると
心臓がおかしくなる。
何も答えられずにいると七海は続けた。
「貴女の言葉に甘えていましたが
五条さんに嫉妬するくらいには貴女の事を
独り占めしたいですよ。失望しましたか?」
「………そんな訳、ない。七海!好き!」
「私も、好きですよ」
「……ところで、自分、ここにいてよかった?」
「まあ、結果的には」
灰原が気まずそうに話す。
本当にごめん。
さっき肩を抱かれてからずっとその体制で
話をしているけど、どんどん七海との
距離が近づいている気がして落ち着かない。
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