第3章 犬、時々虎。
.
「絶対そうだと思うんです!
だっていつも皆を誘う虎杖がですよ!?
雪奈だけ誘って映画ですよ!?
絶対何かあると思うんですよ!」
「ふーん、あっそ。
でも映画って確か、デートには向かねえんだよな」
「え?そうなんですか?」
「雰囲気はいいけど、喋れないから
コミニュケーション取れねえしな。
だからデートとかなら水族館とか、
そう言うちょっと暗くて喋れるところが
良いって、パンダが言ってた」
「パンダ先輩凄い物知りじゃん……」
「ま、どうだったか後で教えろよ。
映画は何見るか分かんねえけど」
「………はい」
何故か報告義務のない要件を
報告しなければいけなくなってしまった。
真希さんには申し訳ないけど、なんて面倒な…
そうは言ったものの、実は虎杖の事は
入学してきた頃から気になってはいた。
親切だし、人を惹きつける魅力がある。
自分でモテないとは言ってたけど
正直、好意を持たれてるけど
告白されなかっただけだと思ってる。
今日の映画は野薔薇と真希さんが
思う様な事は起きないと思ってる。
けど楽しみなのは事実だ。
早く放課後になって欲しいと思ったのは久々だった。
.