第2章 最強なんて要らない。
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「………悟が、最強じゃなければ
もっと、一緒にいられた?」
私の為に思って言ってくれてるのが
分かるからこそ、胸のモヤモヤは晴れないし
よく分からない感情で悟に当たってしまう。
気づいたら悔しくて虚しくて、涙が溢れた。
「もー!泣かないでよー!
困ったなあ、泣いた顔も可愛い。
でもね雪奈。僕が最強だったから
雪奈の呪いを祓えたし、出逢えた。
そのくらい強かったからね。
……んー、どう言えば伝わるかな」
よしよし、と頭を撫でられながら話される。
凄く、心地が良い。
悩みながら言葉を探す悟を見ながら
我ながら子供だな、なんて思いながら
口を開いた。
「ごめんね、困らせたいわけじゃないの。
でも不安なのは本当、だから。
一緒にいれる時は…一緒にいたい」
「もー、そうやって可愛い事言う。
はいダメでーす!この後大人しく僕に
抱かれて下さーい!」
「えっ、ご飯は」
「作ってくれてて申し訳ないけど
後でいい。その前に雪奈を食べたい。
明日休みだから朝まででもいいし」
ヒュ、っと喉が鳴った気がした。
朝まで、悟に、抱かれる?
「むっ、むり!死んじゃう!」
「無理じゃありませーん、ほーら、早く」
軽々しく担がれて、寝室に連れて行かれた。
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