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【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】

第2章 2


JOINには朝から放置してたあの子からのメッセージが入っていた。

「ご飯行きませんか…」

あいにく今日は夜叉丸さんとの約束がある。

「今日は無理…と。」

リスケをとったりしない。面倒だし予定でガチガチに身の回りを固めるのが嫌いなのだ。その場その場で生きていたい。くらげのようにふわふわと泳いでいたいのだ。

「ちゃーーん。お待たせ。」
「車ありがと。今日どこ行くの?」
「うなぎよ!!」
「うな丼大好き〜。」
「そう来なくっちゃ。」

夜叉丸さんの車にはわたしが担当した新曲が流れている。
こーいうとこ抜かりない。気が利く。わたしにはない部分だ。素直に尊敬する。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

夜叉丸さんと高級そうなうなぎ屋さんに入って、大好きなうな丼を食べながら日本酒を飲んでいる。控えめに言って最高だ。

「ちゃん、仕事引き受けてくれてありがとうね。とっても嬉しいわ。肝いりのプロジェクトなのよ。」

夜叉丸さんは冷えてキラキラと光る透明なグラスを傾けながらにっこりと笑った。

「うん。知ってた。」

わたしはぬる燗。徳利を傾けながらお猪口にお酒を注ぐ。

「でもこんなギリギリで引き受けてくれるなんて、あたしもうダメだと思ったわ。ハラハラさせてくれるわね。」

夜叉丸さんは大袈裟にため息をついた。
わたしはけらけらと笑った。

「ごめん。だって引き受ける気無かったし。」
「アラ。どういう風の吹き回し?」
「あの子に会って、良いなと思った。」

夜叉丸さんのコハク色の目が興味深そうにすうっと細められた。

「あの子?」
「金城剛士。」

わたしは彼のキラキラと尖ったルビーの瞳を思い出すために目を閉じて煙を深く吸い込んだ。

「ふぅーん…たしかに、ちゃんが好きな感じのアーティストになるわよ。あの子は。」
「でしょう。見てみたいと思った。あと帝人に恩返し。」
「それも珍しいわね。聞いたら泣いて喜ぶんじゃない?」

夜叉丸さんはふふっと口元をグラスで隠して笑った。
わたしは思いっきり顔を顰めた。

「きも。でも借りっぱなしにするのは性にあわないんだよね。」
「そうよね。ちゃんは律儀な子だもの。」
「やめてよ。」

そうして夜は更けていった。
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