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【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】

第2章 2


「あんた、相変わらずの低血圧ねぇ。今夜精のつくもの食べさせてあげるから一緒にご飯行くわよ!!」
「やったぁ〜。」

夜叉丸さんとは同じレコード会社の同僚みたいなものだ。彼はA&Rの部署にいて複数のアイドルグループを管理している。私は楽曲制作の部署にいて曲を編曲したりお互い裏方の仕事をしているのでよく飲みにもいく。たぶんこれはご飯という名の打ち合わせだ。でも夜叉丸さんのことは最近放置気味だったから仕方なく行くんだ。ご飯が目当てとかじゃない。

「今日の上がりの予定は何時なの?」
「今日は定時だよ。打ち入ってない。」
「なら好都合ね。んじゃ、また会社でね♪」
「うん。またね。」

電話中にキッチンまで移動していたので切ってから火をつける。朝の一服は何年もこなしているルーティンだ。拘りとかないし、どーでもいいけど辞められない。きっかけがないだけなんだ。たぶん。
豆乳を冷蔵庫から出して、グラノーラに掛けて速攻で朝ごはんを済ます。その間にスマホを見ると、あの子から連絡が入ってるのが見えた。けど。後でいいや。

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編集の仕事は楽しい。やっぱり作曲家さんが作ってきたメロディとその曲のなりたいイメージ、会社から提示されたイメージが掛け算になって、頭の中からばんばん音が聞こえてくる。手が勝手に動いて突飛な音をミックスするし、ここでこの音?っていう音が不協和音にならなかった時の快感はたまらない。こうして試行錯誤しながら一日はあっという間に過ぎた。

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定時が過ぎたが、もう少しだけ詰めたくて作業をしていると、ぽんと肩を叩かれて、振り向くとほっぺたがぷにっと凹んだ。
一瞬で誰だかわかってイラッとする。

「夜叉丸さん。3分待って。」
「熱意があってすばらしいわね。あなたのストイックなとこ素敵よ♪」
「ありがとう。」

そのあとキッチリ3分で切り上げて、夜叉丸さんとの時間にシフトする。続きは帰ってから構想練って、明日打ち込もう。

「私の車で行きましょ。忘れ物ない?」
「大丈夫。」

会社の地下にある駐車場から夜叉丸さんが車を出してる間、放置してたスマホのロックを解除した。
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