【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】
第1章 1
「なぁ。この後打ち上げあるってよ。俺の親友が誘ってくれたから剛士も行こうぜ。」
「おう。」
二つ返事で了承した俺に、奴ータクヤーは酷く驚いて見せた。
それが煩くて、舌打ちをする。
「んなっ。お前、こーゆーの嫌いじゃん。めっずらしぃ。」
「チッ。うるせえな。」
タクヤは両腕を頭の後ろに組んで、にかっと白い歯を見せて笑った。
「もしかして、ずっと聴き入ってたあのバンドがお目当て?!お近付きになれるといいな。」
俺はよく観察しているタクヤに内心驚いたが、おくびにもださず頷いて見せた。
「ああ。本当にすごかった。色々聞きたいことがある。」
そんな俺を見て、タクヤは顔を歪めた。
「うわっ。珍しい通り越して気色悪ぃ。」
「ハァ。」
くだらなくてため息が出るのだった。
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打ち上げは近所の個人経営の焼き鳥屋で、みんな酒飲んだりタバコ吸ったり好き勝手している。俺はこのタバコの臭いが苦手だから居酒屋には行かないのだが、特別な人の前では別だ。修二さんとか。
「おつかれーー!!今日もよかったよー!あ、こっちは俺の親友の剛士。こう見えてアイドルの卵なんよ〜!!」
タクヤは自分の親友だというバンドマンに俺を紹介してくれた。結構声が大きいから周りの人が俺に注目する。こういうのもめちゃくちゃ嫌いだけど交友関係を広げたいならば耐えなければならない。
「どもっす。」
「おいおい声が小さいぞぉ!!」
もう酒が回った別のバンドマンに肩を組まれる。うわっ、酒くさっ。表情に出てたらしく、凛とした声がそいつを制した。
「もっさん、やめなよ。ガキに絡むの。」
「だっはっは。ちゃんは優しいのか辛辣なのかわかんねえや。」
「…」
それはあのときのドラマーだった。
あの美しい彼女だった。
…だが、いまはタバコを口にしてビールをぐいっとあおった。
ただのヤンキーのような仕草だ。控えめに言ってガラが悪い。
つーか、ガキ?初対面の男に向かって、失礼にも程があるだろ。
色々腹が立ってきたが、俺はこいつに用がある。
「あの。俺、ブレイブエンターテイメントの金城剛士といいます。…さん、近々俺とセッションしてください。」
しっかり目を見て言ってやった。
しかしというやつは鼻で笑って言いやがった。
「お断りします。」