【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】
第1章 1
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剛士side
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ああ……
なんて高揚する音楽だろうか。
こんな音に出会ったのは、マンハッタンにあるあの看板もないライブハウス以来だ。
その時生の音楽に初めて触れて、音楽に惚れて、ロッカーになりたくて、いまの俺がある。
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今日俺は、朝早くからの打ち合わせが終わって、どんよりと疲れた気持ちを晴らすためにいつものようにギターを弾くつもりだった。だがRIZINの対バン(同じライブに出たバンドマン)仲間に誘われ、たまにはと新宿の中規模の有名ライブハウスに足を運んだのだった。今日はギグが行われていて、たくさんのバンドたちが1〜2曲だけ演奏している。
その瞬間は、ライブのトリに訪れた。
普段なら、俺ならこうアレンジする……と批評を頭で浮かべてしまうが、このバンドだけは違った。なぜデビューしてないんだ?そう頭に浮かぶほど、完成していた。ここにいるバンド達はみなインディーズだが、明らかにレベルが違う。特に、ドラムが…力強く繊細で安定している。この曲は間違いなくドラムが引っ張っている。ライブハウスに居るはずなのに、なぜか冷えきっていた心臓が、どくどくと大きく鼓動を立てて、息を吹き返した心地がした。
そして……その音を奏でる彼女を、何よりも美しいと思ってしまったのだ。