【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】
第3章 3
「さん、具合悪いの?!大丈夫?」
「悠太、声がでかい。剛士、お前が家まで送れよ。」
「フン。言われなくてもそのつもりだ。」
剛士くんはわたしの荷物を持って、わたしに手を差し伸べた。
「ん。」
「ありがと…」
わたしは素直に従うことにした。
そうでもしないと、もう吐いてしまいそうだったから。
「俺が夜叉丸さんに連絡しとくよ。さん、お大事にね。送り狼に気をつけて。」
「一言多いんだよ!」
「ごうちん、大丈夫?僕も行こうか?」
「悠太。それは野暮。俺たちはここでもう少し練習しよう。」
「わかった〜!ごうちんよろしくね!!」
「おう。」
みんなの会話がぐるぐるしている。
いまは歩くことに集中。
ビルの裏のタクシー乗り場まで来て、車に乗ったら、剛士くんがわたしの肩をぐっと引っ張って、肩を借りる形になった。
「タクシー、夜叉丸さんにツケでいいよ…」
カードを渡すのは違うと思ったので、剛士くんに言ってみたら、ふはっと小さく吹き出して笑った。
「そのくらい、出せる。」
そっぽ向いたまま、わたしの肩をおずおずと、でも優しく撫でた。
なんだかその手に安心してしまって、わたしは目を閉じた。
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家に帰ったら、洗濯物は畳んでないので山だし、洗い物も食洗機に入れっぱなし。冷蔵庫にはビールしか入ってなくて、なんか夕飯作ってくれようとした剛士くんに呆れられた。
「ごめん…」
「ハァ…こんなんで一人暮らしって、嘘だろ。」
剛士くんに言われるがまま、熱を測ったら微熱があって、夏風邪をひいたみたいだった。
「なんか買ってくる。」
「ありがとう…」
剛士くんって、意外と面倒見がいいんだ。あんなにぶっきらぼうなのに。あんなに適当に扱ったのに、なんか大切にしてくれる。優しいんだ…
知らなかった彼のことを考えながら、眠りについた。
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「さん。目え覚めたか。」
「ん…おはよ。」
大分スッキリした気持ちで目が覚めた。
目の前には剛士くんがいて、おでこに手を当ててくれる。
汗かいたし、化粧崩れてるから触って欲しくなくて、顔を顰めた。
「悪ぃ。」
ばつの悪そうな顔をして、剛士くんは目を逸らした。
違うのに…
って、何が?