【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】
第3章 3
阿修くんは真面目で器用な子だ。
教えたことを飲み込んでしっかり予習復習してくる。
わたしが渡した、昔使っていたドラムパッド(家で練習する為のフリスビーのようなゴムの丸くて丈夫なパッド)でしっかりビートの練習をしているみたいだ。
それに、ダンスの勘が養われているから、リズム感がとても良くて、他のメンバーの演奏が走ったり遅れたりしても釣られないで演奏できる。ドラマーとして強い才能がある子だ。
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今日は夜叉丸さんと最終の詰めをしている。
カフェでコーヒーとタバコを嗜みながら。
「とうとう来週が本番ねえ。あなたのおかげで3人の演奏が纏まって本当にすばらしいわ。」
「ありがとう。夜叉丸さんも色々と気を回してくれたおかげでなんとかやれてるよ。阿修くんも筋がいいし。みんな頑張ってくれてるね。」
「そう言って貰えて嬉しいわ。わたしの息子たちみたいなものですから。」
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「明日は、打ち合わせ、編集、スタジオ…」
この間完成した、新曲の評判は上場だ。CMのタイアップに使われて上司も喜んだし、作曲家さんもお礼を言ってくれた。お礼を言うのはこちらなんだけど。
また新しい作家さんと新曲を詰めてるし、B-projectのデビューも済んで、あとは結婚式場でのライブを成功させるだけだ。
最近、ちゃんとご飯作ってないな…
お腹がすいてるはずなのに、いつの間にかお風呂にも入らないで寝落ちしてしまった。
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今日はツイてない。
打ち合わせではお茶を零したし、編集ではデータを飛ばした。
「マジか…」
「くん、大丈夫か?調子が悪そうだから、少し休憩室で休んでくるといい。無理そうだったら、帰ってもいいから。」
「はい…ありがとうございます。」
上司に言われるがまま、休憩室で水を飲んだあと横になった。
仮眠すれば良くなる…はず。睡眠はとってるはずだけど。夏バテかもしれない。
「また鰻食べに行こ…」
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少し寝たけどやっぱり具合悪い。いまは編集終わってTHRIVEのみんなとスタジオだけど、スタジオの音が脳みそにガンガン来て、内臓がぐるぐるする感じ。
「ヤニが足りないのかな…」
「バカ、そんな顔色でタバコ吸うな。」
いつの間にかそばに居た剛士くんにケースごとタバコを取られてしまった。