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【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】

第2章 2


「用って何?」

わたしは剛士くんから投げられた缶コーヒーをキャッチして話しかけた。剛士くんはぶっきらぼうに瞳を逸らしながら、そのまま自販機の前でしゃがんで言った。

「バンド、やりたいって言ったの俺なんだよ。夜叉丸さんにお願いして…だから、講師がさんで、その…嬉しい。ありがとう。そんだけ。」

剛士くんはそれだけ言うとすたすたと早歩きでスタジオに戻って行った。

「は………はぁ?!」

なんだあいつ?!可愛すぎるだろ。
わたしの身体は勝手に発熱して顔が赤くなるのを感じた。

「まじか…」

冷たい缶コーヒーを開けて、体を冷やすために一気飲みした。
そのあとトイレに入ったのは言うまでもない。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

これでもオンオフの切り替えが効く方なので、10分後には全てのことを頭の隅に追いやって、講師としてスタジオに君臨していた。

「では、10分ほど、みんな好き勝手鳴らしてみて。」

こうしてみると、愛染くんはピアノの経験があるからキーボードも上達が早いだろうし、剛士くんはギターを日頃演奏している。本当に初心者なのは阿修くんだ。私が選ばれた理由も納得出来た。

「愛染くん。いいね。上手。」
「ありがとうございます。」

「金城くん。さすがだね。」
「あざっす。」

「阿修くん、スティックはもう少し短く持っていいよ。それと、左足にもペダルがあって、踏むとハイハットがオープン、クローズ、して音が変わって楽しいよ。」
「わぁ…本当だ!ドラムってたのしいですね!」
「楽しいよね。わたしもドラムが大好きなんだ。」

阿修くんと穏やかに微笑みあっていると、愛染くんと剛士くんが演奏を止めてこちらを凝視していた。

「何?」

ぱっと花開くような笑顔を作って愛染くんが話しかけてきた。

「さんの笑顔に見とれていました。な?剛士。」

わたしはすぐに顔を顰めた。

「うわ。クサっ。」

同時に剛士くんは大きな声を出した。

「ばっ…はぁ?」

私の隣の阿修くんはくすくすと笑った。

「ごうちん顔真っ赤。かわいい〜♡」

仲良しなのはとてもいい事だ。大事な事だ。
だが限られた時間なので有効に使うべきだ。
わたしはそう思って眉間に指を当てた。

「はい。じゃあ次ね。」
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