第9章 ifの話(PandoraHearts/エリオット)
暫くそうしていたうち、落ち着いたのか、が身動ぎをする。
それに対して腕の力を緩めてやると、はエリオットの胸から顔をあげ、最後に少し溜まっていた涙を拭った。
「もう、大丈夫。………やりましょう。」
彼女の言葉に、エリオットがああ、と頷く。
それを確認して、改めて後ろを振り向くと先程までとはうってかわった優しい皆の表情。
今までの一連のことを見られていたと思うと少々恥ずかしいが、後の祭りだ。
「オレ達が二人の契約の証人だ。見ててやるから、しっかりやれよ、。」
兄貴肌な笑顔を浮かべて、オズが言う。
年的にはレラの方が年上だが、エイダの従者になってからはある意味兄のような存在で、過去の境遇抜きに接してくれた。
オズに加え、ギル、レイムが証人となってくれるなら、これ以上心強いものはない。
「ありがとう」
笑ってそう言えば、オズも頷いて笑みを返してくれた。
そしてエリオットに向き直り、再度視線を合わせてから、首にかけていたカルケルを握りしめ、目を閉じた。
「―時計ウサギ」
がチェインの名を呟くと、部屋がアヴィスの空気に包まれ、彼女の背後に大きな時計を首からかけた白ウサギが発現した。
カチカチ、と時計の針の音が不気味にその場に響く。
.