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Short Storys

第9章 ifの話(PandoraHearts/エリオット)




「……」


彼女のその様子に、エリオットは一瞬俯いたあと、そう言って腕を広げる。

いつもならこういうことは少し躊躇うも、今この状況では素直に、すがり付くように彼に応じた。


「…本当に、ありがとな、」


をしっかり受けとめ、ぎゅっと抱き締めながら彼女の耳元で囁くエリオット。


「…はあ……よかった…」


彼の声に少しふる、と身震いしつつ、は一気に緊張の糸が解れたのか、一旦深く息をつく。

それから顔をあげて、エリオットの握られていた手から鏡を取ると、またも時計ウサギのマントから零れたシルバーチェーンにそれを通した。


「……これは、肌身離さず持っていて」


そう言って、エリオットの首に鏡をかける。

それが壊れたときも術は解けるから、と付け加える彼女の漆黒の黒髪がエリオットを掠め、彼の理性を煽ったようで。

彼女がチェーンをつけ終わって彼から離れる瞬間、本当に当てるだけのキスを落とした。


「っ……ちょっと…………!」


その途端、は顔を真っ赤にし、口許を押さえて一時静止。

それを見ていたオズたちも、目を丸くする。


「………意外と大胆なんだな、エリオットって。」


あからさまにニヤニヤと笑うオズの言葉に、うるせぇ、と何故か今更恥ずかしがるエリオット。

皆の目がに向かい、彼女は俯いていたかと思うと、軽く黒い雰囲気を纏わせてエリオットを見上げた。


「………今はそういう時じゃないでしょう……………」


明らかに恥ずかしさを隠しているだけなのだが、彼女の迫力には、エリオットもすまん、と一言。

その様子に、少し和やかな雰囲気が漂った矢先、また違う部屋からゴトッという物音が響いた



Fin....
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