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Short Storys

第9章 ifの話(PandoraHearts/エリオット)



「今まで傷の時間を盗むなんてやったことはないけど…少し応用するだけだから、可能だと思うわ。ただ………」

「ただ、なんだ?」


生まれたときから[時計ウサギ]と共に生きてきたには、イレギュラーなことではあるが可能なのだろう。

しかし、少し心配そうに目を伏せ言葉を切ったに、すかさずギルが尋ねる。

エリオットを救うためとはいえ、危険が伴うことはしてほしくない。

ギルと同じように、皆が心配の表情を浮かべていた。


「ここまでの傷の時間を盗むから、一回の術ではカバーしきれないの。だから、私は基本的に[時計ウサギ]を発現しておいて、それによって術を持続させるつもり。私の負担は確かに大きくなるけど、私と[時計ウサギ]なら、やれると思う。問題は………」


そこで一息つき、はベッドの上のエリオットに視線を送った。

首を傾げるエリオットとの目線は外さずに、は続ける。


「チェインの術が解ける、つまり私が発現を続けられない状況に陥った場合………エリオットの時間は戻ることになるわ。」


それはつまり、が死ぬ、あるいは瀕死の重傷を負った場合、同時に術は解けてエリオットの傷が戻り、彼も死ぬということ。

エリオットの生死がにかかることになるのだ。

いくら恋人同士とはいえ、それでもいいのか、と言いたげなの表情に、エリオットは彼女の手を引いて、体を引き寄せた。


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