第9章 ifの話(PandoraHearts/エリオット)
「久しぶり、だな。。」
優しく、に声をかけるエリオット。
もう聞けないと思っていた彼の声に、姿に、は言葉が出ず、その代わりに涙がこぼれ落ちる。
それを掬ってやると、彼女の瞼がふる、と震えた。
「エリオット」
が何も言えないことを悟り、代わりにオズが顔を出す。
とにかく今はこれがどういうことなのかはっきりさせる必要がある。
久しぶりのオズ、そしてその真剣な表情に、エリオットは顔を引き締めると、ベッドの脇のサイドテーブルから一通の封筒を取り、彼に手渡した。
「…バルマ公からの手紙だ」
「え……!?」
エリオットの口から出た意外な人物の名前に、彼の下に付くレイムが声を上げた。
そのまま、オズが急いで封筒を開ける。
暫く読んだあと、オズは顔を上げ、泣いたまま踞っていたに視線を落とした。
「、君の出番、だよ。」
オズの言葉に、は驚いたように顔を上げる。
どういうこと?と言うような瞳に、オズは手紙を差し出し、それをはおそるおそる受け取った。
「今のエリオットは、バルマ公の愚鳩の能力である幻覚でギリギリ保ってるみたいだ。」
レラが手紙に目を通す間、オズが説明をはじめる。
バルマ公が助けている、という事実に、その場の誰もが驚いた。
なんせあのバルマ公だ。
彼がナイトレイの子息を助けるなんて普通じゃ考えられない。
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