第8章 愛ゆえの(マギ/ジャーファル)
「……シ」
「ああああいや待てジャーファル!これにはものすっごい理由があってだな……」
「へえ。仕事を怠けて昼寝をしていたのに大層な理由があると言うのなら是非聞かせて頂きたいですね、シン?」
ゆるりと笑うジャーファル。
だがその笑みには黒さが孕まれており、シンドバッドは口をつぐまざるを得なかった。
「ジャーファル! 書類は私が良かれと思ってやったんだから! シン様を怒んないであげて!」
「貴女は黙っていなさい、。」
…やばい。
こうなったジャーファルはもう誰も止められない。
そう悟ったは黙ってジャーファルの腕にしがみつくことにした。
「シン、私が戻ってくるまでに書類を終わらすよう言いましたよね?」
「…………ああ」
「にも関わらず、終わっていない上に貴方は寝ていてがやった? これは、どう思いますか、シン?」
「……………すみません。」
ジャーファルの威圧感に、シンドバッドは恐縮するしかない。
ジャーファルははあ、と深いため息をつくと、
「まあまだ書類はありますから。それ、明朝までに終わらせといて下さいね。」
机の上の、がやったにも関わらず高く積み上がった書類を指して、清々しいほどの笑顔できっぱり宣言。
シンドバッドの貫徹フラグが立ち、彼の心が崩れ去る音がした。
「では、頼みましたよ、シン。」
そう言って、ジャーファルはの手を引いて部屋を出て行こうとする。
「…シン様、頑張って。」
が慌てて振り向き、シンドバッドに一言。
そんなを急かすように、ジャーファルがぎゅっと繋いでいる手に力をこめて引き、二人は執務室を出て行った。
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