第8章 愛ゆえの(マギ/ジャーファル)
「どうしたの、シン様?」
「いいから、早くここから出るんだ。本当に、早く。」
「え…でも書類まだ終わってな」
「俺がやっとくさ! 今までやってくれて助かったよ。さあ早く、!」
ぐいぐいとの背中を押し、部屋から出ていかせようとするシンドバッド。
だがはまだ途中の書類が気になるようで、一向に進まない。
けれど……シンドバッドにとってはここにがいることは、一番マズイ。
というか、そのことがアイツに知られてしまったら、マズイのだ。
「ちょっと、シン様、どうしてそんなに慌てているのよ?」
「、早くしないとアイツが来てしまう! が仕事をやったことがバレたりなんかしたら俺は殺される……!」
「え?アイツ?」
「早く! アイツが、ジャーファルが来る前に……」
バンッ
シンドバッドの言葉を遮るように執務室の扉が乱暴に開かれる。
その音にが扉の方を見ると、そこには我が国の政務官でありの想い人である、ジャーファルの姿。
はぱあっと表情を明るくすると、まるで蛇に睨まれたかのように固まっているシンドバッドから離れ、ジャーファルに駆け寄る。
「ジャーファル!」
「……、貴女が何故ここに?」
「え?……えっとね、ちょっとシン様に用があってここに来たら、シン様がお休みになってたから代わりに書類をやってたのよ。」
.