第7章 すれ違い(BLEACH/日番谷)
「じゃあ私、書類届けるついでに乱菊さん探してくるよ。」
机の上にあった書類を抱えながら、せわしなく手を動かす彼に言う。
「ああ、頼む。いつもすまねぇな。」
苦笑いしながらちらとを見遣り、冬獅郎はそう労いの言葉をかけた。
「いえいえ。」と返しながら、は執務室を出る。
…そして向かうは九番隊。
これでも霊術院を一年もかからず首席で通ってきた彼女にとって、ほんとに微かな霊圧を辿ることは安易なことだった。
次の零番隊候補は彼女ではないか、と噂されているほどだ。
そんな高スピードで死神になったのも、早く冬獅郎に追いつきたかったから。
五番隊の雛森桃を含めた三人は、幼い頃からのいわば幼なじみ。
冬獅郎と桃の二人が死神になる、と言ったとき、彼女は祖母を一人にはしたくない、と残ったのだ。
しかし事実、彼女の霊圧は相当のもの。
生れつきの才能で抑えているとはいえ、それでも祖母にはきついものだった。
そして祖母に背中を押され、霊術院へ。
いつのまにか天才児と呼ばれていた冬獅郎をも凌駕していた。
…と、そうこう彼女の素性を明かしている間に、は九番隊に到着。
入ろう、とノックをしようとした瞬間。
勢いよく扉が開けられ、お目当ての乱菊が出て来た。
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