第7章 すれ違い(BLEACH/日番谷)
藍染たちの反乱なんて、まだ起こる気配もなかったソウル・ソサエティ。
平和な日常が続いていた。
……といっている端から、いつものように聞き慣れた怒号が響く。
「松本ーっ!!!!!」
その怒鳴り声から逃げるかのように、十番隊執務室から金髪ロングの色気漂う女死神―松本乱菊が飛び出してきた。
そして声の主は、彼女の上司で十番隊隊長、日番谷冬獅郎。
乱菊が毎度のごとく仕事放棄し、彼の怒鳴り声が響くのが、十番隊の日常だった。
「あーあ………乱菊さん行っちゃったね……」
呆れ気味に呟き、乱菊が出て行った扉からひょこっと顔を覗かせたのが、十番隊三席、。
もはや霊圧が微かにしか感じられない空虚な廊下を見つめ、はあ、とため息をついて扉を閉める。
そしてもうすでに席に座っている冬獅郎を見れば、彼も深いため息を一つ。
大変だなあ、と心の中で同情しつつ、熱いお茶を入れて彼に差し出した。
「大丈夫?」
「……いつものことだからな。…ったく、あいつ帰って来たら今度こそ終わるまで帰さねえ。」
ちっと舌打ちする冬獅郎。
そんないつものことが無性に微笑ましくなり、自然と笑みが零れた。
.