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Short Storys

第5章 ある赤鴉の決心(RedRaven/ウォルター)


「じゃないと駄目なんだよ。」


抱き締められたまま耳元でそう囁かれ、がぴく、と反応する。

余りにも嬉しい言葉。

は意を決したようにぎゅっと唇を締め、ウォルターを見上げた。


「…よろしくお願いします、ウォルター。」


笑みを浮かべてそう言うと、彼も満面の笑みで返してくれた。

そして。

ウォルターの顔が近づいてきたかと思うと、視界を赤が覆い、何かが唇に触れた。


「…………!」


何が起きたのか理解したときには、の体温は急上昇。

ウォルターの方を見ればさっきと変わらない笑みを浮かべたままだ。


「周りに人がいることを忘れるなよ、二人とも。」


その声にはっとしては周りを見渡す。

なかば呆れたように笑うカルロに、自分達を微笑ましそうに見ているモニカ、そして年相応に顔を真っ赤にしているアンディ。

三人の目の前でキスなんて…!

もはや居たたまれなくなり、は両手で顔をおおう。


「羨ましいだろ、カルロ。」

「馬鹿を言うな。人前でキスするなんて節操のない男に、可愛い妹をやっていいのかと迷ってるところだよ。」

「迷うもなにも、がいいと言ってることに口挟むなんて妹離れが出来てねえな。そこは認めとけお兄ちゃん!」


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