• テキストサイズ

Short Storys

第5章 ある赤鴉の決心(RedRaven/ウォルター)



「俺が、お前を嫁にしたいってこと。」


ウォルターが改めてそう言った数秒後、の顔が一気に赤くなる。

こんな前触れもなく言われては、恥ずかしくて仕方ない。
………大体、二人の間でこんな話はされてもいないのだ。


「ときにウォルター。 何故その了承を私に得ようとするんだ?」


笑みは崩さずに首を傾げるカルロに、ウォルターはの手をぎゅっと握り直しながら向き直る。


「だってさ。 はお前が育てたようなもんなんだろ? それならちゃんとけじめはつけるべきだし。」


確かに、は幼い頃捨てられていたところをカルロに助けられた。
勿論、カルロとは親子程も年は離れてなかったが、それからはカルロがを妹のように育ててきたのだ。

ウォルターにしてみれば、これは普通でいう相手側の両親への挨拶にあたるのだろうが……

それにしても唐突すぎて頭がついていかない。

わけがわからなくなって、はテンパりながらしがみつくようにウォルターを見上げる。


「ちょっと…… いきなりそんなこと言われても…!」

「……俺じゃ嫌か?」

「っ………」


ふっと笑みを浮かべてそう言うウォルター。

これじゃ勝てるわけがない。


「…嫌、じゃない、けど…」

「けど?」

「………ウォルターは、私なんかでいいの…?」


顔を真っ赤にして、しどろもどろにが言った言葉に、ウォルターは目を丸くする。

そして数秒後、ウォルターがふ、と目を細めて笑ったかと思うと、はぎゅうっと力強く抱き締められた。


.
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp