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Short Storys

第5章 ある赤鴉の決心(RedRaven/ウォルター)



そう言ってにっと笑うウォルターに、カルロは髪をがしがしかいて小さくため息をつく。

そして一度を見たあと、再度ウォルターを見直した。


「………可愛い妹がいいと言っていることに、反対する理由があると思うか?」


カルロもウォルターも、お互いの視線を外すことは全くなく、部屋の中はしんと静まりかえっていた。

一息ついて、カルロが続ける。


「を、よろしく頼むぞ。ウォルター。」

「…もちろんだ。」


カルロの言葉に、ウォルターは先程の冗談めいた笑みはなく、真剣に、そして静かに一言告げる。

その一連の誓約が終わったことで、やっと、は笑うことができた。


「………ありがとう、兄さん。」


無意識に、そう呟いていた。

カルロは彼女の言葉に驚いたように目を丸くしたが、の心底嬉しそうな笑みに頬を緩める。


「兄さん、か。その呼び方も悪くないな。」

「…うん。ほんとに、育ててくれてありがとう。」


そう言って、は深く頭を下げた。

そして顔を戻してカルロの笑みを確認してから、ウォルターに向き直り、背伸びをしてぎゅっと抱き着いた。

それを受け止めるように、ウォルターがしっかり抱き締める。


「改めて、今日からよろしく、ウォルター。」

「………ああ、可愛いお姫さん。」



Fin....




(あ、そういえば。)
(?)
(俺も兄さんて呼んでいいか?)
(…なんかムカつくから駄目だ。)


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