第5章 ある赤鴉の決心(RedRaven/ウォルター)
何故ここまでされて自分がここに連れてこられたのか。
先程からウォルターの行動の目的が1つとしてわからないは、疑問符を浮かべるばかりだ。
「…なんでカルロの部屋?」
ぼそっと呟かれたの疑問は彼の耳に届かなかったのか、ウォルターは優しくを下ろす。
そして一呼吸したあと、彼にしては珍しくノックをした。
「……どうぞ。」
中からカルロの声が聞こえ、ウォルターはの手を引いて中に入る。
するとノックをしてきた相手がウォルターだとは想像もしてなかったのか、カルロが拍子抜けしたように目を丸くする。
「ウォルターがノックなんて珍しいな………どうした?まで連れて。」
一度こちらに向けた視線を今やっていた書類の方へ戻し、どこか楽しそうに訊ねるカルロ。
何を言うつもりだろうとウォルターを見上げていただが、その後彼が告げた言葉には驚かざるを得なかった。
「カルロ、を俺にくれ。」
「「…………は?」」
今、なんて?
彼の突拍子もない言葉に、と、そして野次馬に来ていたアンディの素直な反応が被る。
だが言われた本人は、驚きもせず楽しげにまた顔を上げている。
「え、ちょっと……くれってどういうこと?」
「どうもこうも、そのまんまの意味だよ。」
ウォルターの袖を掴みながら言うに、対する彼は微笑みながら彼女を見下ろす。
.