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Short Storys

第2章 ささやかな願い(PandoraHearts/エリオット)


*―*―*―*


もうそろそろ日が陰る頃。

少しずつだが、図書室の窓からも夕日のオレンジ色が差し込み始めていた。

ぎぃ…

重い扉を開ける音とともに、三人の男女が入って来た。

国を治める大臣の一人娘に、四大公爵家嫡子とその従者。

その肩書きだけ見るとなんと豪華な面子か。


「あれぇ?人いなさそうじゃない?」


我先にと入って来たレイラが、キョロキョロと室内を見回して言う。

まあ事実、ここまで広い図書室をそれぐらいで全て確認出来るかは疑問だが。


「……みたいだな。」


続いて入って来たエリオットも同じように見回すだけ。

扉の前で立ち止まったままの二人の横をすり抜けて、さすがリーオ、図書室の奥まで入って行く。

すると。


「二人ともどこ見てるんだか。」


本棚の陰からリーオがひょこっと顔を出した。


どうやら誰かしらの手を掴んでいるよう。

エリオットとレイラがそこまで行くと、いじけたようにそっぽを向くがいた。


「…何?」


三人から顔を背けたまま全く目を合わせようとしない。

そんな彼女にやんわりとリーオが返事をする。


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