第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
そして月日は流れ───。
キッチンで朝食の支度をしていると、壁に掛けられた時計が目に入り、時間を確認する。
「(あ…そろそろ時間。)」
カノはリビングの方を見た。
「柊、パパを起こして来てくれる?」
「うん!」
積み木で遊んでいた柊は元気に返事をすると、立ち上がって寝室がある方へとパタパタと走っていく。
「スゥー…スゥー…」
ゆっくりドアを開けると、ベッドで気持ち良さそうな寝息を立てて寝ているマイキーがいた。柊はそろり…と忍び足で近付き、ベッドからぴょこっと顔を出す。
「パパァ!おきて!」
「ン…ンン…」
「ママのおいしーごはんあるよ!」
ぼふぼふと布団を叩いて起こそうとする柊を、マイキーはベッドの中に引きずり込んだ。
「ぱぱにつかまった!ママァ!おねぼうパパがおきない!」
そう叫ぶとリビングから『万次郎くん!いつまで寝てるんですか!遅刻しますよ!』とカノの怒った声が聞こえた。
「パパ!ちこくしますよ!」
「あと5分…」
「めっ!」
柊もママの真似をして怒ると、マイキーはゆっくりと瞼を押し上げた。
「おはよ…しゅう…」
まだ眠そうな顔で笑うと柊を優しく抱きしめる。
結婚した二人の間に第一子が誕生した。マイキーと同じ黒髪にカノと同じ紫色の瞳をした男の子で名前は──佐野柊。二人の世界で1番大切な宝物だ。
「ぷちとまと…」
今日の朝食には柊の苦手なプチトマトが目玉焼きと一緒に添えられている。プチトマトの食感と味が苦手な柊はしょぼん…っと落ち込んだ。
「ぶろっこりーのほうがすき…」
「なるべく小さいの選んだから、1個だけ頑張って食べてみよう?」
「やっ…たべない」
「好き嫌いはダメだよ」
「パパが食ってやろーか?」
「ほんと!?パパだいすき!」
「もう万次郎くん、すぐ甘やかさないで。柊、プチトマト食べられたらお菓子食べていいよ」
「ほんと!?ママもだいすき!」
「カノも甘いじゃん」
お菓子が好きな柊はフォークでプチトマトを刺すと、嫌そうな顔をしながらも頑張って口に含んだ。
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