第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
「んぅぅ…まずい…」
「頑張れ頑張れ」
「っ…ん!たべた!」
「おーえらいじゃん」
柊は涙目になりながらも、あーっと口を開けてプチトマトがないことを教える。
「よく頑張ったね。お菓子食べてもいいよ。でも食べ終わったらちゃんと歯磨きすること」
「わーい!」
両手を上げた柊は嬉しそうに喜ぶ。
「ママおしごと?」
「今日はお休み」
「パパは?」
「パパはお仕事」
「おしごとかぁ〜…」
「あとで録画してあるパパのバイクのレース、ママと一緒に見よっか」
「うん!しゅーね、パパがばいくでれーすしてるところ、いっぱいみるのすき!」
「ママも好きだよ」
洗い物をしながら柊のお喋りに付き合う。夫であるマイキーの仕事はバイクレーサーだ。中学の頃から乗り慣れているからか、ここ最近のレースではぶっちぎりの1位を貫いている。そして柊は幼稚園から帰ると、パパが活躍しているレースを見るのが楽しみになっていた。
「カノ、オレの携帯知らねぇ?」
「テーブルの上にありますよ」
「お、あった」
着替え終わったマイキーがリビングに戻って来て、テーブルに置いてある携帯を手に取る。
「柊、あんま食いすぎんなよ」
「パパはふとってるしゅーきらい…?」
うるうる目でマイキーを見つめる。
「は?めちゃくちゃ好きだけど?」
「えへへ〜」
嫌いと言わないことを知っている柊は、口の周りに食べカスをつけながら両手を頬に当て、へにゃりと顔を緩めた。
「(溺愛っぷりがすごい。)」
愛妻家としても有名なマイキーは、雑誌のインタビューでも家族の話題に触れることが多い。実際にインタビューの記事を読んだファンからは"佐野ファミリー尊い!!""奥さん大事にしてるところが好き!!""美男美女夫婦とか最高すぎんか??"など、佐野家の虜になる者も多かった。
「ふふっ」
「なーに笑ってんの」
小さく笑いを零せば、マイキーが傍まで寄ってきて、ギュッとカノを抱き寄せる。
「幸せだなぁって」
「あ〜今日もオレのヨメが可愛い❤︎」
「きょーも、しゅーのママはかぁいい❤︎」
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