第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
「……クソッ」
無理やり立たされた悠生は、マイキーをギロッと睨み付けながらマドカに連れられて控え室から出て行った。
「…カノ、平気?」
「はい…」
「震えてる…もう大丈夫だよ」
小さく震えているカノを安心させるように優しく抱き寄せる。
「花嫁がそんな顔してちゃダメだろ?笑えよカノ。今日はオレらの大切な日になるんだからな」
「…そうですね。今は兄も生きています。いつまでも過去に縋るわけにはいきません」
「それでこそオレのヨメ❤︎」
るん♪っとマイキーがご機嫌になる。
「遅くなっちまったけど、すげぇキレイだ。オレにはもったいねぇくらいの花嫁だよ」
「それは私の方です。約束、守ってくれてありがとうございます」
「左手の薬指はこれからはめるんだけどな。…必ず幸せにする。」
「はい」
私は今日、大好きな人のお嫁さんになる。
「ちゅーできそうな距離…」
「我慢してくださいね」
「一回だけダメ?」
「あとでしますから」
「えぇ〜」
不満げに頬を膨らませるマイキーの駄々っ子に、クスッと小さく笑った。
◇◆◇
「新郎 万次郎。あなたはカノを妻とし、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「はい」
「新婦 カノ。あなたは万次郎を夫とし、その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「誓います」
たくさんの人達に見守られながら
永遠の愛を神様の前で誓う。
健やかなる時も
病める時も
喜びの時も
悲しみの時も
共に過ごし
愛をもってお互いに支え合っていく
「誓のキスを」
もう道に迷わないように
帰る場所を失わないように
手を繋いで未来を歩んでいく
世界で1番愛する人と共に───。
ベールを持ち上げたマイキーは、カノの顔を見ると、ふっと表情を崩して柔らかな笑みを浮かべる。
近づいてきた顔に、そっと目を閉じた。重なった唇が名残惜しそうに離れると、マイキーがこつんっと額を合わせてきた。"幸せになろう"。その想いが伝わり、涙を浮かべたカノはマイキーと嬉しそうに笑い合った──。
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