第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
「なぁ柊」
「なぁに?パパ。」
「オマエにもいずれ、自分の命張ってでも守りたい存在ができる。その"守りたいもの"を守るために拳を振るう事だってきっとある。もしかするとそれはオマエの強さじゃ敵わない相手かもしれねぇ」
「……………」
「でもな、たとえ勝てねぇと分かってても、最後まで諦めんな。どんなに相手が強くて逃げ出したいって思っても、オマエの中で手離したくないものは絶対に死んでも守り抜け。わかったか?」
そんな難しい話をしてもまだ子供の柊には"守る意味"も"拳を振るう意味"も理解はできない。それでもマイキーは同じ男として、同じ目線で、この先の未来で柊に大事な存在ができた時のために、立ち向かう覚悟と諦めない強さを教える。
「うん!わかった!」
「よし!」
意味が分からずキョトン顔で話を聞いていた柊だが、ニコッと愛らしい笑顔を浮かべて返事をした。マイキーはくしゃっと柊の頭を優しく撫でる。
「柊はどんな大人になると思いますか?」
「どんな大人だっていいよ。ちゃんと真っ当な道を歩んでくれたらそれで」
「そうですね。無事にすくすく育ってくれたらそれで十分です」
近くで三輪車を漕いで遊ぶ楽しそうな柊を見ながら、二人は笑みを浮かべる。
「ありがとなカノ」
「急にどうしたんです」
「オレをオマエの"夫"にしてくれて、柊の"父親"にしてくれて、オレを…幸せにしてくれて」
「それはこっちのセリフです。二人がいるから私は毎日幸せなんです」
首に掛けられたお揃いのネックレスに触れる。
「ママー!しゅーのこぐところみててー!」
「見てるよ〜」
カノは柊の元に向かう。そんな二人の姿を見つめながらマイキーは思った。
「(この幸せが壊れねぇように、ずっと守ろう。オレの大事な宝物たちを───。)」
「パパ〜?」
「ボーッとしてどうしたんです?」
「今日もオレの嫁と息子が可愛いなって❤︎」
「パパ!しゅーとママにみぼれてないで、さんりんしゃおして!」
「任せろ」
いろんな困難を乗り越えた先で手にした幸せ。このなんでもない日々を、かけがえのない家族と一緒に、これからもずっと過ごしていきたいと思う……──。
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