第4章 夜
お茶を渡され一口
「…平和な夜だなぁ…」
「おれもそぉ思う」
ちょっと顔を動かせば…たぶん顔と顔が触れるかもしれない距離
ただこの歌舞伎町の通りを眺め
ただ月がきれいな夜で
ただこの人とこの部屋にいて
同じ窓辺で街を見てるだけ
すごく平和ですごく静かで
一息ついて
「…銀さん、あのね…」と顔を動かせば
「…なんだ?」
めっちゃ目の前
「茶…預かるわ」
「ありがとう」
手に持っていてもなと、渡された湯呑を更に一口含み、
コクンと喉をならす
それから湯呑を預けることにした
湯呑がどこに置かれたのだろう
コトンっと置く音がした
いやいや銀さんってちょいちょい近い
近いよね?
「いやぁ……近いなー…さすがに、ちかい…」
なーっと言いかけで
「ん?!」
口に柔らかいものが触れているのがわかる
チュッチュッとついばむ音がし
息も苦しい
「えっ?…まっ?まっ……て……」
それでもお構いなしにただ音だけが響き
息継ぎがわからない
「ま…んっ……まって……」
「まてねぇな」
そう発した声が聞こえ、ただ窓辺から落ちず、声が聞こえないように
「んっ…は……はっ」
チュ……ちゅ……
「んは………ん……」
ただ受け入れるしかできず