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京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





綾警部と合流したのち今は車で移動中。運転はもちろん綾警部。本来であれば部下の私が運転するものだろうけど生憎、自動車運転免許を持ってないのだ。大型バイク(正式名:大型自動二輪車免許)の免許なら持ってる。


助手席に座りながら日課ともなっているSNSのチェック。個人的にやってるものだが一応仕事の内でもあるんだよ。


「何かありましたか?」と聞いてくる綾警部。SNSをバカにしてはいけない。確かに信憑性に欠けるところがあるけど投稿者の思いや願いや考えが見えてくる。何気ない言葉がヒントになることもある。と、アイツに教えてもらった。


「毛利小五郎、通称『眠りの小五郎』が京都に来てるみたいです」


「それ、ほんま?」


「何人もの人が投稿してるので間違いないかと。最近テレビ等で見かけますからね」


ここ最近、名が上がりつつある探偵。まるで眠っているように推理をする姿から付けられたのが『眠りの小五郎』


「何しに京都に。ただの観光ならええんやけど」


「まさか源氏蛍の事件を調べに来たとか?」


「それなら東京の方のを調べたらええ」


それもそうか。


「それじゃあ、何か依頼されたとか?」


『探偵は依頼されたらどんなこともやり遂げる』なんて言われている、らしい。日本中どこでも行くとか。


「その可能性もありますなぁ」


SNSのチェックはこのくらいでおしまい。画面をスリープにしポケットにしまうと綾警部の上着のポケットからシマリスちゃんが出てきた。


何を思ったのかそのまま私へ寄ってくる。そっと手を出せば乗ってきたから指で撫でてあげると気持ち良さそうな、嬉しそうな反応をする。今日も可愛いな。


「空はんにかまってもらえなかったから嬉しいんやろ。最近、事件で忙しかったさかい」


一緒にいる時間が長いだけあってかシマリスちゃんの気持ちを読み取ることができるらしい綾警部。さすが。


「私なんか、ただ撫でてあげるくらいしかしないのに…」


何で?警部に頼まれて一緒にいることはあるけど、エサをあげたこともないし、お世話なんてしたこともないのに。


「空はんのことが好きやねん。その子だけやない」


最後の言葉は他人よりも敏感な私の耳でも聞き取ることができなかった。


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