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京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





東京○ナナを買って京都に帰ってきた私たち。少し多めに買ってきた(買ってもらった)ため捜査一課の人たちには渡せるだろう。


再度、聞き込みからやり直すらしく事件現場となった『スナック・ジロー』のある東山区に来ていた。綾警部とは途中で別れて今は一人。とりあえず現場の近くで聞き込みしようと思い『スナック・ジロー』へ向かっていた。


犯行時刻は未明。被害者は盗賊団『源氏蛍』の一人、駿河次郎。日本刀による殺害。傷口の状態等からかなりの剣の腕前。弓の腕前もかなりのもの。


分かっているのはこのくらい。犯行時刻が未明なため目撃者もほとんどいない。捜査が難航している。『源氏蛍』の残りのメンバーである義経・弁慶・伊勢三郎も誰だか不明。生きているかも不明。


そんな考えをしながら建物や民家の間を縫うように歩き続けていると、犯行現場まで通りあと一つ。この間を抜けたところで人の声が。とっさに建物の陰に隠れる。声からして高校生くらいの少年のよう。


「ありがとうな、おっちゃん」


現場『スナック・ジロー』の隣の店から出てきた人物を物影から覗くと、そこに居た人物に目を丸くする。


──服部平次。


西の高校生探偵と称される。大阪にある改方学園とかゆう学校の生徒。父親は大阪府警本部長・服部平蔵。かなりの色黒。あいつよりも色が黒い。


なぜ京都にいるのだろうか。観光ではない様子。もしかして『源氏蛍』の事件のことだろうか。それなら大阪で起きた事件を追えばいいのに。


もし事件を追って京都に居ると綾警部が知ったら、たぶん機嫌悪くすると思う。たぶん。とりあえず連絡だけでも入れておこう。携帯を取り出して操作してると悲鳴が聞こえた。


「あぁぁ!泥棒!!」


自転車に乗った男が和服の女性が持っているバッグをひったくる。これは”お巡りさん”として見過ごせないと思い飛び出そうとするよりも早く服部平次が動く。


店先の暖簾を手に取ると構え、ひったくり男の足めがけて振る。お見事。見てるこっちも気持ち良いくらいな動きだ。確か剣道が全国レベルだっけ。


きれいに脛に当たる。向う脛、別名を『弁慶の泣き所』。非常に強かったとされる弁慶であっても痛みのあまり泣き出すと言われる部分。あれは痛い。ひったくり男はバッグを捨て、脛をおさえながら走り去っていく。


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