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京都府警の女刑事

第3章 迷宮の十字路





「改めまして、京都府警の黒澤 空です。よろしくお願いします」


今更だが挨拶する。綾小路警部から「初めての人に挨拶はきちんとするように」と言われているからでもある。


「警視庁の高木 渉です。こちらこそよろしくお願いします」


高木刑事は慌てるように敬礼をして名乗る。そんなに堅苦しくしなくても。年齢は同じか私の方が下のはず。たぶん。


「高木くんは空と直接会うのは初めてだったわね。空は元々警視庁所轄にいたのよ」


「えっ?そうなんですか?でも何で京都に」


そう、キャリアでない限り都道府県を跨いでの異動はありえない。人事交流はあったりするけど。理由はまあ、いろいろある。その話はいつかしよう。


「周りと上手くいかないことが多かったのよね。この通りこんなだし」


私が異動した理由を知っている美和子は面白おかしく言う。性格については否定できない。自覚はある。


そんなこんな会話してると綾小路警部がこちらへくる。髪型が少し面白い白鳥警部も一緒だ。


「空はん。お待たせしました」


そこまで待っていないのだがと思っていると白鳥警部が話しかけてくる。


「こんにちわ、警視庁の白鳥任三郎です。黒澤刑事とはなかなかご一緒することがなかったので、お会いできて光栄です」


言われてみれば白鳥警部と一緒になることはほとんどない。綾小路警部から聞かされる私は白鳥警部どんな感じの人かなんとなく知ってはいたが、逆に白鳥警部は私のことを全然知らないのだろう。とりあえず挨拶をと。


「こんにちは、京都府警の黒澤 空です。白鳥警部のことは綾警部から聞いてます。同期だとか」


「あ、綾警部ね」と言いながら隣に立つ綾小路警部を横目で見る。前に「呼びやすいよう好きに呼んでよろし」と言われてから親しみを込めて呼んでいる。


「それでは、我々はこれで失礼させてもらいます。なにか分かったらまた連絡しますえ。空はん、京都戻ったらまた捜査再開や」


頷きながらも綾警部への視線は外さない。理由は、


「約束通り『東京○ナナ』買ってあげます。今回着いてきてもろうたお礼に。」


周りの目が点になったのは言うまでもない。


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