第4章 消えた老舗の和菓子
「哀ちゃんは博士と一緒なの。だから居ないんだ。哀ちゃんに会いたいの?」
「気になることがあって、ちょっとね」
前は駅で会ったけど話し掛けるでもなく帰ってしまった。私が気になる理由は一つ、小さい頃に会った人と似ている気がするから。もしかしたらその人の子どもなのかと思ったけど、その人の年齢的に考えると違う。親戚かもしれない。次に会ったら聞いてみようと。
それから少年探偵団についていろいろ聞いた。学校の下駄箱に依頼を入れる場所を作っていたり、遊んでいたらそのまま事件に遭遇したり、バスジャックにもあったことがあるらしい。そのなかで美和子が動いたのもあるのだろう。小学生(それも1年生)にしては中々ハードな事件に遭遇しているらしい。
綾警部が「毛利はんに頼まれた事を調べてくる」と出て行ってしまってから「毛利はん、毛利はん」と連呼しながら帰ってくるまで話しこんでしまった。良く見ると車折刑事も居ない。毛利小五郎に電話で何かを頼まれてどこかへ行ってしまったらしい。
少し遅れて蘭ちゃんと毛利小五郎が戻ってきた。目の周りを青くして顔全体が赤いし、なんとなくフラフラしながら立っている。園子ちゃんの言っていた「血の雨降るね」とはこうゆうことのようだ。
フラフラしながら商品棚に寄りかかり、眠ってしまった。これが『眠りの小五郎』と言われる状態なのだろう。
綾警部は『小倉味のパッケージ』を調べるようお願いされたらしい。
「『小倉味』のシールの周りに、米油が付着していました」
『米油』のワードに全員が反応する。なんで米油が?
「『米油』ならうちでは離型剤として使っていますけど」
離型剤とは何か歩美ちゃんが社長に聞く。
「離型剤とは生地を焼く前に型に塗って、生地を型から抜きやすくする油です」
社長が『米油』について教えてくれた。鉄板とかで焼く前に塗る油と同じなのだろうと私は思っていた。油によって違うものなのか?今度アイツに聞いてみよう。
店員さんもなんで「『小倉』のシールに付いていたのか?」と
「『付いていた』のではありません。『塗られて』いたんですよ。『小倉』のシールを貼る前にね」
貼る前とはどうゆうことだ?