第4章 消えた老舗の和菓子
「でもいいとこに来た!窃盗事件だ。警察の出番だ。後は任せた!」
突然の事に目を丸くする私と綾警部。シマリスちゃんも体を傾けているではないか。何を言い出す毛利小五郎。窃盗事件?
そもそも京都にはイージス艦の体験航海に参加するために来た毛利御一行。前日に来たのは「せっかくの京都だし」と言うことで京都縁の食べ物を(毛利小五郎は地酒を)堪能するためらしい。
お目当ての一つ『京銘菓梅はら』の新商品『京のとりチョコレート味』を買いに来たら既に売り切れていると言われたが、実は商品が消えたと言う事実が判明。他の店舗でも同様に消えていたと。
防犯カメラを確認したところ、角度的に『京のとり』が置かれている棚は映っていないため誰がどうやって動かしたのかは分からなかった。
だが、カメラには店員さん達以外の1人の人物が映っていた。桜色の服を着た若い女性だった。今日は少し肌寒いのに薄着。何か商品を買うわけでもなくそのままお店を出て行ってしまった。
この女性が消えた『京のとり』に関係しているのでは?と話し合っていたところに私達がやって来たと。
外では『京のとりチョコレート味』を買いに来たお客さんに「ほんまにすみません。明日には入荷します」とひたすら頭を下げる社長と店員さん。
今日使用分のチョコレートは使ってしまったので新しく作ることは不可能。今日を発売日にしたのは先代の社長の命日だからとのこと。楽しみにしていたお客さんに申し訳ないと。
なんだかんだ成り行きで捜査に関わることになった綾警部と私。太秦のお店に綾警部の同僚の刑事に聞き込みをお願いして、数分後に折り返しの連絡が。
「チョコ味がのうなったとき、不審な車が店の前に停まってるのを見た人がおるって」
「不審な車?車種とナンバーは?」
「桜色の小型車で、車種やナンバーまでは分からんそうです」
車種やナンバーが分かれば使用者照会等で誰なのか特定できるが、型と色だけでは特定できない。行き詰まりそうになったとき店員さんが同じ車を見たと言う。チョコ味が消えて探していたときに1人の職人さんもお店の前に停まっているのを見たと。ただし、ナンバーまでは見えなかったらしい。ナンバーだけでも分かればと思っていたらコナン君が提案してきた。